本当に食べられない人は意外と少ないです

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戸原 玄 准教授(東京医科歯科大学 高齢者歯科学分野)

今回は、開口力計の開発を始め、高齢化歯科の分野で第一線で活躍されています東京医科歯科大学の戸原 玄 准教授に在宅医療との関わりについてお話をお伺いしました。

― ご施設の特徴について教えてください。

当院では外来や入院患者、往診で嚥下内視鏡検査等を行っていますが、新患の数としては、圧倒的に往診が多いのが特徴です。最近は訪問診療ができるようになり、いろんな所からご依頼を頂くようになりました。現在、大学(お茶の水)から半径16キロ以内なら往診が可能です。嚥下内視鏡検査を2002から約15000例やっています。

実際やってみてどうですか?

嚥下の状態をよく知るために、内視鏡を持って在宅や施設で検査しています。以前は設備の接続だけでも10分位掛かって、その間は患者さんやご家族が「じーっと」待っている訳で、決して心地よい間ではありません。不安もあったと思います。今はiPadや無線で内視鏡検査できるようになりました。

今、口から食べているけどうまく食べられないという人の中に、嚥下の機能が本当に失われている人は、実はあまりいないんです。うまく食べられない理由でよくあるのは、食べ物の状態が合っていないことです。ほかにも座り方や車イスの大きさを調整するだけで、うまく食べられるようになる人がたくさんいます。

例えば、肺炎や骨折で一度入院して、体が弱っているときに嚥下の状態を検査すると、必ず悪い結果が出ます。要は体が弱っているからです。入院中は体が弱っていて食べられなかったけれど、退院すると、放っておくだけで良くなる人もいます。退院後、口から食べることによって、前より元気になったとか、前よりよく話すとか、以前より復活している人が多くいます。

― 最後に一言お願いします。

嚥下障害の要素には歯、舌、喉など幅があってその中口を開ける力が強いとか弱いとかは今まで測れなかった。今も測れるようになって、潜在的に嚥下が悪い人をもっと悪くなる前に見つけることができます。口の開く力をトレーニングすることにより、嚥下機能も良くなったという結果も出たので、患者さんごとに適した訓練メニューがピンポイントで決めることができます。そういう情報を広く伝えていけたらと思っています。

私が携わっている研究班で、摂食嚥下の問題に対応できる医療資源マップを作成しています。(摂食嚥下関連資源マップ)こちらの充実も図っていきたいと思いますので、ぜひ活用してください。

戸原 玄 先生 プロフィール
1997年              東京医科歯科大学歯学部歯学科卒業
19982002年    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系専攻高齢者歯科学分野大学院
19992000年    藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座研究生
20012002年    ジョンズホプキンス大学医学部リハビリテーション科研究生
20032004年    東京医科歯科大学歯学部付属病院高齢者歯科 医員
20052007年    東京医科歯科大学歯学部付属病院高齢者歯科 助手
                   東京医科歯科大学歯学部付属病院摂食リハビリテーション外来 外来医長
20082013年    日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授
2013年           東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系口腔老化制御学講座
             高齢者歯科学分野 准教授【認定医・専門医】  
 ・日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士
 ・日本老年歯科医学会認定医および認定医指導医
 ・日本老年歯科医学会専門医および専門医指導医【研究班】  
 ・平成25年度厚生労働科学研究費補助金長寿科学総合研究事業「高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究」研究代表者

 

― 編集後記

戸原先生が作成している摂食嚥下関連資源マップに登録の医療機関は、1300件を超えています。そのうち訪問診療に対応している医療機関は約880件ほどあります。

今回のインタビューからも、少しでも口から食べたいと願う患者さんとそのご家族が、有効な医療的支援を受けられる地域づくりを全国的に目指されている先生の思いを伺うことができました。

青4BKT

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