その人の希望で在宅を選んでほしい

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宮原 光興 先生(悠翔会在宅クリニック川崎 院長)

東京23区と隣接する神奈川、千葉、埼玉の各地域にて在宅医療を提供する悠翔会グループのひとつ、悠翔会在宅クリニック川崎の院長である宮原先生にお話をお伺いしました。

― ご施設の特徴について教えてください。

悠翔会は在宅医療に専門的に取り組んでいるクリニックのグループです。

当院の訪問エリアである川崎区は、病院過剰で病床が余っているという特性があります。非常に珍しいケースだと思いますが、そのため在宅医療が東京ほど充実しているとはまだまだ言えません。お家で過ごしたい人が、お家で過ごしていない、あるいは、お家で過ごすということに対しての認識が少し低い、というところがあります。

あとは独居の高齢者が多いですね。神奈川県は高齢人口の増加率が高く、川崎エリアも人口の増加率に比して世帯数が増えています。つまり独居率が高くなっているということです。家族のサポートが得にくい方も結構いらっしゃいます。

また川崎区は、生活水準が高くない方々もいらっしゃいます。介護保険などのサービスにうまく入っていけないような一人暮らしの高齢者もいますので、そういう方をいかにサポートしていくか、という課題があります。

― 在宅医療に携わるようになったきっかけは何ですか?

僕はずっと外科で癌を切るような仕事をしていました。そのあとの、患者さんが自宅に帰ってからのイメージが全然わからなかったんです。患者さんがおうちでどう過ごしているのか、生で見たかったというのが理由の1つです。

もう1つは、亡くなった祖母が、最期を自宅で過ごしたんです。訪問診療は入りませんでしたが、今の知識や制度に対しての理解があれば、訪問診療を入れるべきだったと思っています。そういうこともあり、在宅医療に興味を持ちました。

実際やってみてどうですか?

僕は消化器外科が専門なので、胃瘻を作っているわけですが、やっぱり口から食べることが基本だと思っています。胃瘻を作ってからいかに食べてもらえるようになるか。そのための嚥下内視鏡検査を病院でやっていました。

実際在宅をやってみて病院と違って、ヒントがいっぱいあるんです。病院での評価って、病院という場所、病院のイス、病院の机、病院の介助。特殊な環境だし、家で食べているご飯ではないですよね。家に帰ってから再現性があるかというと、僕はやっぱり疑問なんです。

家で嚥下内視鏡検査ができれば、生活の一部を切り取って検査ができると思います。

 

― 最後に一言お願いします。

僕は、“今後ベッドが足りなくなって病院で亡くなれない時代が来るので、在宅医療が必要なんじゃないか”っていう論調を変えたいんですよね。在宅医療は、家に病院を持ってくるわけではないですし、ネガティブな理由で在宅医療を選んでほしくないという思いがあります。病院のベッドが空いてる、でも家だよって、その人の希望で在宅医療を選んでほしいと思います。

宮原 光興 先生 プロフィール
2006年    東京医科大学医学部医学科卒業  
        恩賜財団済生会 東京都済生会中央病院 初期臨床研修
        東京警察病院外科 後期研修
        東京医科大学外科学第三講座入局
        東京医科大学病院 消化器外科・小児外科
        厚生中央病院 消化器病センター
        戸田中央総合病院 外科
2014年     医療法人社団悠翔会 入職           
2015年1月~  同法人理事・悠翔会在宅クリニック川崎院長 【資格】 
 ・日本外科学会認定外科専門医
 ・日本消化管学会認定 胃腸科暫定指導医・専門医 他 【所属学会】
 ・日本外科学会
 ・日本消化器内視鏡学会
 ・日本消化管学会
 ・日本大腸肛門病学会
 ・日本癌治療学会 他 

 

― 編集後記

宮原先生は患者さまのおうちに行った時に、診療だけではなく患者さまとのコミュニケーションもともて大事にしています。時には患者さまと1時間半くらいもおしゃべりしていたそうです。今回のインタビューからも宮原先生が「医者と患者」ではなく個性のある「人と人」として、患者さまへの熱い思いを深く感じました。

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